【体験談】高熱出たら右腕が麻痺した ー入院生活④ー

入院生活

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抗生剤がとうとう終了

10月21日、1か月におよぶ点滴生活が終了した。

心臓のエコー検査でも心臓に菌は見えず、身体の異常はみられないため、抗生剤によって菌が消滅したといわれた。

点滴がついている部分は水にぬれてはいけないため、シャワーの度に防水テープで保護しなければならなかった。

私も面倒であったし、看護師さんも大変だったと思う。

その手間がなくなり、とても開放的な気分であった。

あとは、右腕が良くなるようにリハビリに集中するだけとなった。

右手に握力が戻ってきた

この日のリハビリで、徐々に握れるようになってきた手を見て、「握力を測ってみようか」とのことで、計測することとなった。

その結果は、17㎏であった。

これを見たリハビリの先生は、めちゃくちゃ驚いていた。

というのも、右手が動くようになったのが10月15日なので、まだ1週間も経っていないからである。

にもかかわらず、これだけの力が出せたのだ。

「いままでいろんな患者さんを見てきたが、これだけ回復力のある患者さんは初めてだ。学会に発表してもいいくらいだよ。」とまでいわれてしまった。

自分にできること

私は、自分に何ができるのかどうやったら早く退院できるのか。

それを考えて、それを実行しただけである。

脳出血が起きたことは仕方ないし、右手が動かないことを嘆いたところで動くわけではない。

だったら、右手が動くようになるためにはどうしたらいいのか、そのために今の自分に何ができるのかを考える。

後ろではなく、前を向いて、1回1回のリハビリを真剣に取り組むことが、私にできることだっただけのこと。

特別なことは何もしていないのだ。

22日には30分間歩くことができるようになり、ようやく体力づくりのスタートラインに立つことができたのだった。

指折りも何とかできるようになっていた。

回復期病棟へ

担当医に言われた一言

心電図が外れ、点滴も終了し、現在の病棟ではすることがなくなったため、リハビリを集中的に行うことのできる回復期病棟、いわゆるリハビリ病棟への転科が決まった。

手が動いてから、約2週間後のことだった。

リハビリ科に移動直後、リハビリの担当医よりこんなことを言われた。

「麻痺から回復しつつある場所は、100回でも、1,000回でも、10,000回でも、動かさないと動くようにはならないよ。

これを言われて、私はハッと目が覚めた気がした。

いままで歩いたりしながら、右腕や指を動かしたりしていたものの、食事や歯磨き、字を書いたりすること等、基本的にすべて左手でしていた。

食事にいたっては、ICUの時から串食のままだった。

「全然使ってなかったんや」と思っていると、担当医より「試しに右手で署名してもらってもいいかな?」と提案される。

書いてみようとするが、ボールペンを持つこと自体が難しく、適正な大きさで書こうと思ったが、力をうまく入れることができず、ヒョロヒョロした文字になってしまったのである。

自分がまだまだの状態であることを、この時改めて知ったのである。

最初は食事環境の改善から

右手をできるだけ使うようにするため、その日の夕食から右手で食べることにした。

しかし、箸を使うことがまだできないので、家から持ってきたフォークを使って食べることにした。

フォークの柄を太くした方が食べやすいとのことで、看護師に相談して、巻き付けるタイプのものを借りて食べることにした。

巻き付けるタイプの柄を太くする介護用具

入院してから初めての右手での食事

しかしこれの介護用具、食べているとずれてきて食べ物につきそうになってしまうのだ。

そのため、理学療法の先生に相談して、次の日には太い柄のフォークを用意してもらった。

転科の翌日、管理栄養士が食事のことを聞いてきたため、今の串食から一口大食に変更してほしいことを伝えて、その日の夕食から変更となった。

これで、とりあえず食事を右手で食べる準備が整ったのである。

自主リハビリを増やす

転科の際に書いた署名の書きにくさを改善するため、今まで自主的にしていたリハビリの量を増やすことにした。

日によって変えることでマンネリ化をふせぎたいと思い、両親や妻に依頼して、道具を持ってきてもらった。

これが、今回の入院でしたリハビリの一覧である。

・歩行30分(毎日)
・文字練習(毎日)
・筋トレ
・ゲーム(毎日)
・ナノブロックを箸で皿から皿に移す
・ナノブロックを指で皿から皿に移す
・洗濯バサミを外してつける
・ゴルフボールを回す

これらの中から、(毎日)と書かれたものに加えて、1~2個をその日の気分で選んでしていた。

この中で、一番しんどかったのは文字練習だ。

字が書けるのって、とっても素晴らしい

大きな動きはできるようになってきたが、細かい動きとなると、とたんにできなくなる。

あたりまえだが、字を書く時に腕全体を使うことはなく、指の動きだけで書いている。

麻痺が残っている手にとっては、どれだけ力を入れようと動かないため、10数文字書くだけでも一苦労なのだ。

書くのにどれだけ時間がかかったかがわかる写真がこちら。

LINEニュースを見て書き写したもの。

たった4行を書くのに、13分53秒(休憩除く)かかっている。

1行書くたびに休憩していたため、実際は20分ほどかかっている。

これはまさに「苦行」といっても過言ではないリハビリだった。

なんどもペンを投げ出しながら、それでもあきらめることなく、毎日1枚ずつ書いていった。

LINEニュースだけではネタが尽きてしまうので、雑誌のコラムを書いたり、自分がしたいこと・やりたいことなんかを書いたりして、退院までの約1か月間書き続けた。

字がすらすらと書けることって、実はとっても素晴らしいことなんだと、人生で初めて感じたのである。

ゴルフボール回せる?

リハビリの中にある「ゴルフボール回し」とは、手のひらの中で2つのゴルフボールを落とさないようにクルクルと回転させることをいう。

回転させようとするのだが、これをするには
・各指の動き
・親指の付け根の位置
・手のひらき具合

等を調整しながら回さないといけないため、意外と難しいのだ。

右手と左手で速さが違いすぎて泣けたのは言うまでもない・・・。

↓右手

↓左手

だんだんと早くできるようにしていきたいと思った。

 

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